フラッタ・リンツ・ライフ　森博嗣

　このスカイ・クロラシリーズを読むたび、「もう一人の自分」を確認できる。
　ああ自分を見てるんだ、という気分になる。

　この本に登場する人物は余計なものがない。何かが欠けていると思う人もいるだろうが、僕にはそう見える。だからこそのキルドレ。
　この視点は淡白で、簡潔で、素直だ。
　綺麗なものは静かで、動かなくて、無駄がない。

　この本を読むといつも思う。
　人間は余計なものの固まりだと。
　しかし、それでも良い。汚くても、穢れてても、醜くても。
　自らを省みることで、此処に居ることを確認できる。
　もう一人の意志を確認できる。
　一瞬だけ綺麗な思考を生み出して、自分を見ることができる。

　だから絶対にこのシリーズは手放さない。