超・殺人事件〜推理作家の苦悩 東野圭吾

ベストセラー作家である東野圭吾氏の短編集。 短編を読めば作家が分かると息巻いて、「初」東野圭吾なのに、こんなブラックジョークの短編を買ってしまった。やっちゃったなぁと思いながらも、とりあえず全部読みました。時には自虐的に、時にはシニカルな目…

ソロモンの犬 道尾秀介

タイトル縛りのせいか、十二支シリーズと銘打たれている内の第2作目。 道尾氏の作品は読み終わった後、自分の中に何の影響も残さないんだけど、読んでいる最中は楽しめるので、結構好きだったりする。ファーストフードみたいな気軽さがすごく良い。個人的に…

悼む人 天童荒太

今更ながらに読了。 人に薦められるかと問われれば、そうではないと答えるし、かと言って、面白くなかったのかと訊かれれば、面白かったよと答える。そんな感じの小説。 僕はまだ年齢が二十代前半なので『死』というものがおぼろげである所為か、読み進めて…

氷菓 米澤穂信

新幹線でちょいと移動する用があったので、暇つぶし用として購入。 古典部シリーズ、第1作目。 作者のデビュー作らしいが、既に文体やキャラクターの傾向はこの時点で確立されていたようだ。傍観主義者の主人公、殺人のないミステリ、オチに一口の毒、とお約…

ハサミ男 殊能将之

叙述ミステリと知りつつも、結構楽しめた。何よりもタイトルが秀逸。 読み終わった後、自殺願望であり、シリアル・キラーでもある「ハサミ男」が萌えキャラに変わりました。ハサミ男 (講談社文庫)作者: 殊能将之出版社/メーカー: 講談社発売日: 2002/08/09メ…

しゃばけ 畠中恵

店頭の目立つ位置に並んでるので、ちょっと気になって買ってみた。 結論から言えば、あんまり面白くはない。好きな人もいるんだろうけど、どうにも中途半端な作品に感じた。 文章も、設定も、登場人物も、ストーリーも、どこか不安定さが付き纏っている。処…

バイバイ、エンジェル 笠井潔

ブラックラグーンにて哀れな高校生が呟いていた頃から、読もう読もうと思って早三年以上が経ってしまった、矢吹駆シリーズ。さらに読み終わるまで半月ほど要してしまうという、なかなかの曲者だった。 さて内容だが、主人公の矢吹駆と語り部のナディア・モガ…

好き好き大好き超愛してる 舞城王太郎

ビッチマグネット、残念だったなぁ――というわけで、舞城最初の芥川賞候補作である本作品をまたまた読み直してみた。読むたびに思うんだけど、なんでこれが受賞できなかったんだろう、ってくらいに素晴らしい。 恋愛小説の最高峰だと思う。ちなみに僕はこいつ…

さよなら妖精 米澤穂信

ご存知「小市民シリーズ」の作者、米澤氏の著作である。 あんまり期待はしていなかったが、それなりに楽しめた。小市民シリーズ同様、死人の出ないミステリーで、苦い青春が待っている。 個人的に評価できる点としては、やはり結末。多分、こういった雰囲気…

狐笛のかなた 上橋菜穂子

ご存知「守り人シリーズ」の作者である上橋氏の作品。 あいかわらず情景を表現する文体が美しい。僕自身、頭の中で場面を想像しながら読むタイプではないので、単語のイメージや音感が気持ち良く伝わってくる氏の文章が非常に好みである。 子供だけが読むの…

パズルの軌跡 機本伸司

「神様のパズル」の続編。 前作を読んだのはいつだっけ? あんまり憶えていない。 宇宙の次に扱うテーマは“自分”ということで、一気に話が身近になったなぁ――かと思いきや、作中の内容を自分で考え出すと結構難しい。ただ、今回は完全に中身がライトノベルな…

まず3冊

・前巷説百物語 京極夏彦前巷説百物語 (角川文庫)作者: 京極夏彦出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/12/25メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 19回この商品を含むブログ (29件) を見る いわゆるエピソードゼロと云うヤツ。 …

ビッチマグネット 舞城王太郎

100%の日常で勝負した純文学。長編では初めてじゃなかろうか。 でも、現実をぐーんと飛び越えて身近に存在する愛や世界を描いてくれないと、舞城作品としてはやはり物足りなかった。 タイトルは好きです。ビッチはあんまり好きじゃないですが。ビッチマグネ…

BLACK LAGOON(9)

ロベルタ復讐篇もこれにて終了。 最後のエピソードでロックが浮かべた満足そうな微笑みを見た瞬間、思わずニヤリ。 日本篇の倍くらい胸糞が悪いストーリーだけど、とにかく面白かった。悪党バンザイ!BLACK LAGOON 9 (サンデーGXコミックス)作者: 広江礼威出…

終末のフール 伊坂幸太郎

読了。 今まで文庫化された伊坂作品の中で、たぶん一番面白くないんじゃないだろうか。 小惑星激突まであと三年という世界を描いたお話なんだけど、中身はパニックでもなんでもない。要は混乱と混乱の間における平和――小康状態に生きる人々に焦点を当ててい…

スカイ・イクリプス 森博嗣

読了。 カラマーゾフの兄弟を並行して読んでいるせいか、2時間ちょっとで読み終わってしまった。やっぱ翻訳モノとは文章の質が違う。 さて、内容の感想でも。 確かに本編で不明瞭だった謎の部分が、この作品で明かされているとは思う。 筆者が答えた質問か…

τになるまで待って 森博嗣

τになるまで待って PLEASE STAY UNTIL τ (講談社文庫)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/07/15メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 9回この商品を含むブログ (43件) を見る Gシリーズ第三弾。 あいかわらずカバーデザインが素晴らしく、中身は…

フラッタ・リンツ・ライフ 森博嗣

フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life (中公文庫)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2007/11/01メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 45回この商品を含むブログ (116件) を見る このスカイ・クロラシリーズを読むたび、「もう一人の自…

φは壊れたね 森博嗣

φは壊れたね (講談社文庫)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/11/15メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (97件) を見る 前評判が悪いGシリーズ。その文庫1作目。 とりあえず読了。 今までに比べ、非常に低カロリーな…

楽園 宮部みゆき

二週間近く読むのに掛かってしまったが読了。 新刊を読むたびにだけど、「宮部みゆきは丁寧だよなぁ〜」と毎回感心させられる。描写・心情・ストーリー展開。どれをとっても丁寧にそしてしっかりと紡がれている。 さて本作「楽園」は一応「模倣犯」の続編で…

神様のパズル

SF青春小説になるのだろうか? 宇宙をつくるというテーマに魅かれて購入、そんで読了。 大学で物理を齧っているので、まあまあ面白い。逆に単語を知らないと面白くないかもしれない。 オチは普通なので肩透かしを食らうかもしれないが、物語の過程が肝だと…

好き好き大好き超愛してる。 舞城王太郎

再読。 個人的に今年に買った小説の中で一番面白いのはこれだと思う。 RADWIMPSよーじろーの歌詞を見てると無性に読みたくなってしまい、表題作の部分だけ読んだ。 恋愛小説読んでる人。もうこれ読め。 設定で感動するなんて全然面白くない。 「愛する」とい…

邪魅の雫

読了。 殺すとは何か。世界とは何か。 前作に続いて高尚なテーマ。 インパクトは無いが、丁寧に読むことができる内容だったとは思う。 ファンとしては塗仏の勢いが懐かしいなぁと思える作品だった。 シリーズとしては惜作。単品で見れば面白い部類に入るかな…

邪魅の雫

購入。 店員が初回特典つけ忘れやがった。 舐めんなよ〜っ!!京都ア○ンティが!! 正直なトコ、怒るよりもガッカリした……

宮部みゆき 名もなき毒

名もなき毒作者: 宮部みゆき出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2006/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 65回この商品を含むブログ (286件) を見る ファンはご存知の通り、「誰かの」の続編。 内容は普通かな。少々展開が分かってしまったのが残念だった。…

ドリームバスター3 宮部みゆき

ようやく出たドリームバスターシリーズ第3巻。2〜3年という恐ろしく長いスパンで出版され、その都度1巻から読み直しをさせられてしまうという困ったシリーズである(単に僕の記憶力が悪いだけなんだけど)。 3の終わり方は非常に気になる形で終わる。と…

九十九十九 舞城王太郎

人を選ぶ作家である舞城王太郎、さらに舞城作品の中でも最も人を選ぶのが本書「九十九十九」だと思う。 ちなみにこれは「キュウジュウキュウジュウキュウ」ではなく「ツクモジュウク」と読みます。 物語の内容としては、九十九十九が小説内を暴れまわる(ま…

続巷説百物語 京極夏彦

読了。半年以上を費やしました。 もったいねぇ事をしてしまったモンです。一気に読めばよかった・・・ ラストの又市がかっこよすぎ。かなりいいね。 後巷説百物語の文庫化が待ち遠しい。続きが気になってノベルスverを買ってしまいそうですよ。 京極堂シリー…

女王の百年密室 森博嗣

読了。相変わらず読みやすさは抜群。 一応ミステリーなんでネタバレ不可ですが、一言で言うと「まあまあ」の出来。 100年後の未来、死という定義を持たない住人や神という存在など、設定はぶっ飛んでますので苦手な人は少々ついて行けなくなるかも。 でも筆…

容疑者Xの献身

読了。 普段から森博嗣や京極夏彦などのびっくりトリック系を読んでるので、インパクトは受けなかった。が、論理系も割合良いと思う。素直にやられたなという印象を受けた。 純愛も絡めてたようだが、これは微妙〜。というより個人的に受け付けないだけかな…